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垂れ耳の犬がかかりやすい病気と耳掃除の方法
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    ワンちゃんの垂れた耳はとても愛らしいですが、垂れ耳ならではのトラブルが起きやすくもあります。

    今回は垂れ耳のワンちゃんがかかりやすい病気と、それを予防するためのケアの方法などをご紹介します。

    犬の耳 犬の外耳炎

    外耳炎

    外耳炎とは鼓膜より手前の部分で炎症が起きている状態を言います。
    原因は様々ですが、主に細菌やマラセチアと呼ばれる酵母(カビの一種)が増えておこる病気です。

    細菌やマラセチアは、本来健康な皮膚にも存在する常在菌です。
    それらが何かの拍子で増えすぎることで、炎症を起こしたり二次感染を引き起こします。
    酵母であるマラセチアは脂っぽく湿気の多い場所を好みます。

    ワンちゃんの垂れ耳はまさにマラセチアにとって繁殖しやすい環境なのです。

    その他にもアレルギーやアトピー、寄生虫感染なども外耳炎の原因になります。
    またそれらが複合して起こることもあります。

    しもやけ

    耳の先端やはじっこの部分は皮膚が薄く、血管も細いです。
    そのため寒い時期には血行が悪くなり、しもやけになることも。

    これは垂れ耳のワンちゃんだけでなく、耳が大きく短毛の犬種がなりやすい症状です。

    寒冷凝集素症

    低温の刺激によって起きる自己免疫疾患です。
    血球同士がくっついて赤血球が壊れてしまったり、隣接した血管が炎症を起こしたり、血液の循環不全が起きて皮膚が壊死してしまいます。

    症状としては、まず耳の端っこが黒いかさぶたのようになります。
    そこを掻いて割れると出血が起き、やがて繰り返していくうちに重症化して壊死した部分がボロボロと欠け落ちてしまいます。

    ミニチュアピンシャーやイタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ダックスフントなどに多く見られる傾向があります。

    耳のはじっこに起こる病気は、他にも皮膚炎や腫瘍など色々あります。
    なかなか治らない、繰り返すなどの場合は動物病院で診察を受けましょう。

    その他のケガ

    垂れ耳は犬同士で遊んでいる時に噛まれてしまうことがあります。
    また、皮膚が薄いため歯が当たっただけで出血してしまうことも。

    同様に自宅でブラッシングをしている時もスリッカーブラシで耳の先端を傷つけてしまうおそれがあるので注意してください。

    犬の耳のケア

    垂れ耳のケアの方法

    普段のケア

    外耳炎の治療と予防のために洗浄液で耳の洗浄を行います
    (これは垂れ耳に限らず、すべてのワンちゃんに行うのがおすすめです)

    耳道内の余分な脂や耳垢を取り除くことで外耳炎を引き起こす菌の増殖を防ぎます。
    また寒い時期の血行不良対策としては、気温が低い時間帯のお散歩を控えたり、耳の先端をマッサージしてあげるのが効果的です。

    外耳炎治療中の注意点

    外耳炎の薬は犬が耳を振っても飛ばされないよう、ドロっとしたものが多いです。
    そのため垂れ耳の犬は耳たぶの内側まで薬品でべたべたになり、不衛生になってしまうことがあります。

    そういうときは洗浄液で一度耳を洗浄し、余分な脂や残った薬剤を除いてから、薬を塗り直す方がより浸透しやすく治りも早くなります。
    耳の周りについてしまった薬剤もタオルなどで拭いてあげるといいでしょう。

    耳を守るスヌードのススメ

    垂れ耳で長毛のワンちゃんは普段の生活で耳の毛に汚れがついたり毛がもつれたりしやすく、それが原因で皮膚炎や外耳炎を起こすことがあります。
    それらを防ぐために、スヌードをかぶせるのがおすすめです。

    スヌードとは、食事の時に顔まわりの毛や耳の毛が汚れるのを防ぐためにかぶせるずきんのような物です。
    通気性の高い素材を使用したものもあり、外耳炎の防止や治療中の耳の保護にも使えます。

ワンちゃんの垂れた耳はとても愛らしいですが、垂れ耳ならではのトラブルが起きやすくもあります。

今回は垂れ耳のワンちゃんがかかりやすい病気と、それを予防するためのケアの方法などをご紹介します。

犬の耳 犬の外耳炎

外耳炎

外耳炎とは鼓膜より手前の部分で炎症が起きている状態を言います。
原因は様々ですが、主に細菌やマラセチアと呼ばれる酵母(カビの一種)が増えておこる病気です。

細菌やマラセチアは、本来健康な皮膚にも存在する常在菌です。
それらが何かの拍子で増えすぎることで、炎症を起こしたり二次感染を引き起こします。
酵母であるマラセチアは脂っぽく湿気の多い場所を好みます。

ワンちゃんの垂れ耳はまさにマラセチアにとって繁殖しやすい環境なのです。

その他にもアレルギーやアトピー、寄生虫感染なども外耳炎の原因になります。
またそれらが複合して起こることもあります。

しもやけ

耳の先端やはじっこの部分は皮膚が薄く、血管も細いです。
そのため寒い時期には血行が悪くなり、しもやけになることも。

これは垂れ耳のワンちゃんだけでなく、耳が大きく短毛の犬種がなりやすい症状です。

寒冷凝集素症

低温の刺激によって起きる自己免疫疾患です。
血球同士がくっついて赤血球が壊れてしまったり、隣接した血管が炎症を起こしたり、血液の循環不全が起きて皮膚が壊死してしまいます。

症状としては、まず耳の端っこが黒いかさぶたのようになります。
そこを掻いて割れると出血が起き、やがて繰り返していくうちに重症化して壊死した部分がボロボロと欠け落ちてしまいます。

ミニチュアピンシャーやイタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ダックスフントなどに多く見られる傾向があります。

耳のはじっこに起こる病気は、他にも皮膚炎や腫瘍など色々あります。
なかなか治らない、繰り返すなどの場合は動物病院で診察を受けましょう。

その他のケガ

垂れ耳は犬同士で遊んでいる時に噛まれてしまうことがあります。
また、皮膚が薄いため歯が当たっただけで出血してしまうことも。

同様に自宅でブラッシングをしている時もスリッカーブラシで耳の先端を傷つけてしまうおそれがあるので注意してください。

犬の耳のケア

垂れ耳のケアの方法

普段のケア

外耳炎の治療と予防のために洗浄液で耳の洗浄を行います
(これは垂れ耳に限らず、すべてのワンちゃんに行うのがおすすめです)

耳道内の余分な脂や耳垢を取り除くことで外耳炎を引き起こす菌の増殖を防ぎます。
また寒い時期の血行不良対策としては、気温が低い時間帯のお散歩を控えたり、耳の先端をマッサージしてあげるのが効果的です。

外耳炎治療中の注意点

外耳炎の薬は犬が耳を振っても飛ばされないよう、ドロっとしたものが多いです。
そのため垂れ耳の犬は耳たぶの内側まで薬品でべたべたになり、不衛生になってしまうことがあります。

そういうときは洗浄液で一度耳を洗浄し、余分な脂や残った薬剤を除いてから、薬を塗り直す方がより浸透しやすく治りも早くなります。
耳の周りについてしまった薬剤もタオルなどで拭いてあげるといいでしょう。

耳を守るスヌードのススメ

垂れ耳で長毛のワンちゃんは普段の生活で耳の毛に汚れがついたり毛がもつれたりしやすく、それが原因で皮膚炎や外耳炎を起こすことがあります。
それらを防ぐために、スヌードをかぶせるのがおすすめです。

スヌードとは、食事の時に顔まわりの毛や耳の毛が汚れるのを防ぐためにかぶせるずきんのような物です。
通気性の高い素材を使用したものもあり、外耳炎の防止や治療中の耳の保護にも使えます。

著作者プロフィール

獣医師 高倉裕人

麻布大学獣医学部獣医学科卒業 動物とご家族のライフスタイルに合った治療を分かりやすく丁寧に提案することを心がけています。 得意分野は歯科です。ノーフォークテリアと雑種猫と暮らしています。 ペットスペース&アニマルクリニックまりも方南町店、いくの動物病院勤務。 https://petspace-marimo.com/ https://ikunoah.com/

2019年06月06日

犬の病気

獣医師 高倉裕人

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