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発情後は特に気を付けて観察を! 子宮蓄膿症のサインと治療法とは?
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    子宮蓄膿症とは、メス犬であればどのような犬種でもかかる可能性がある病気です。
    また子宮蓄膿症は発症すると重症化することが多く、治療が遅れると命を落とす可能性もあります。

    愛犬のためにも、子宮蓄膿症の原因や症状、診断、治療・予防法を確認しておきましょう。

    ぐったりしている犬

    子宮蓄膿症になる原因とは?

    子宮と外部との連絡通路である膣にいる常在菌(通常は悪さをしない菌)によって発症します。
    子宮の入り口が開いている発情期は菌が子宮へ侵入しやすく、増殖すると炎症が起き、膿が作られます。

    発情期以外は基本的に子宮の入り口は閉じているため膿は子宮から排出されません。
    この膿が溜まりすぎてしまうと子宮蓄膿症を発症します。

    子宮蓄膿症になりやすいタイミングは?

    子宮蓄膿症は発情が終わった時期に発症しやすい傾向があります。
    犬の発情期は約2週間続きますが、その間、子宮の入り口が緩み子宮内に細菌が入りやすくなります。

    通常は子宮内に細菌が侵入しても免疫で増殖を抑えられるのですが、メス犬の発情後には免疫低下に関わる黄体ホルモンが約2か月間にわたって分泌されます。
    そのため、細菌に対する免疫力が低下し子宮蓄膿症を発症しやすくなります。

    妊娠、出産の経験がない5歳以上の犬ホルモンバランスの崩れた高齢犬によくみられます。
    出産の経験があっても長期間妊娠していない場合にも発症しやすくなるという報告もあります。 

    子宮蓄膿症のサイン

    発情終了後の数週間から2~3か月以内に現れることが多いです。

    初期

    時々食欲にムラがありますが、飼い主が気づきづらい状態です。

    中期

    数日から1週間かけて進行し、以下の症状が見られます。

    • 元気消失
    • 食欲低下
    • 飲量水と排尿の増加
    • 嘔吐
    • 発熱

    陰部からの分泌物また膿の蓄積が多くなると子宮が膨らみ、外見からも腹部が膨れて垂れ下がっていることが確認できます。

    後期

    さらに進行すると膿が血液中にまわり敗血症や腹膜炎を起こし、多臓器不全に繋がります。
    飼い主が症状に気付いた時には、病気が進行していることが多いです。

    子宮蓄膿症には種類がある?

    子宮蓄膿症には、子宮内に溜まった膿が外陰部から排泄される「開放型」と排出されない「閉鎖型」があります。

    開放型では子宮から排出された血液や膿が膣に見られることがあるため、比較的発見しやすいです。
    しかし、閉鎖型では陰部に膿が見られないため飼い主は気づきにくく、子宮からお腹の中へ膿が漏れ出して急激に状態が悪化し、突然死する場合もあります。

    子宮蓄膿症の検査

    子宮蓄膿症の検査方法

    通常は血液検査レントゲン検査超音波検査などで診断を行います。

    血液検査

    <細菌感染の影響で白血球数が上昇する傾向があります。また腎臓や肝臓の機能が低下している場合もあるため、同時に腎臓・肝臓の機能を検査確認します。

    レントゲン検査

    膿によって拡大した子宮の確認を行います。
    一般的に正常な子宮は、レントゲン検査で見ることが出来ません。
    妊娠との区別をする場合には超音波検査が行われます。

    どのように治療するの?

    子宮蓄膿症の主な治療方法は3つあります。

    外科的治療

    再発を防ぐ最も有効な治療で、外科的に卵巣と子宮を摘出する方法です。
    しかし通常の避妊手術と違い、膿が溜まっている子宮を摘出するため、難しい手術です。

    手術自体が成功しても術後に血圧低下や体温低下、ショック状態に陥ることがあるため油断できません。
    術後数日は入院をして、細菌の毒素による腎臓や肝臓の障害、腹膜炎などのリスクがなくなるまで経過観察します。

    入院中の検査で問題がない場合は、比較的早く日常生活に戻ることができます。

    抗生剤による治療

    初期兆候のみで食欲・元気があり全身状態が悪くない場合は、抗生剤の投与で治癒する場合があります。
    しかし再発する可能性が残ります。

    ホルモン療法

    子宮を収縮させるホルモン剤を投与することによって子宮から膿を排出させる方法です。
    飼い犬の子供がどうしても欲しい場合の方法で、開放型で症状が進行していない犬にのみ適応されます。

    しかし、治療に時間がかかり、また完全な膿の排出は困難なため、病気が進行する可能性もあります。
    子宮蓄膿症を完全に治療するためには外科的治療が最も有効な方法です。

    手遅れになると命を落とす危険性がある病気のため、かかりつけの獣医師とよく相談し、納得のいく治療法を選択してください。

    子宮蓄膿症を予防するためには?

    若くて健康な内に避妊手術をすることで、予防することが出来ます。
    子犬を飼う場合は、なるべく早く手術時期を獣医師と相談しましょう。

    まとめ

    子宮蓄膿症は避妊していないメス犬ならば、どの犬でも起こる可能性のある病気です。
    特に、いつもより発情出血やおりものが長く続く場合は要注意です。

    避妊手術をしていない犬、特に5歳以上の犬では発情後の体調を注意深く観察しましょう。

子宮蓄膿症とは、メス犬であればどのような犬種でもかかる可能性がある病気です。
また子宮蓄膿症は発症すると重症化することが多く、治療が遅れると命を落とす可能性もあります。

愛犬のためにも、子宮蓄膿症の原因や症状、診断、治療・予防法を確認しておきましょう。

ぐったりしている犬

子宮蓄膿症になる原因とは?

子宮と外部との連絡通路である膣にいる常在菌(通常は悪さをしない菌)によって発症します。
子宮の入り口が開いている発情期は菌が子宮へ侵入しやすく、増殖すると炎症が起き、膿が作られます。

発情期以外は基本的に子宮の入り口は閉じているため膿は子宮から排出されません。
この膿が溜まりすぎてしまうと子宮蓄膿症を発症します。

子宮蓄膿症になりやすいタイミングは?

子宮蓄膿症は発情が終わった時期に発症しやすい傾向があります。
犬の発情期は約2週間続きますが、その間、子宮の入り口が緩み子宮内に細菌が入りやすくなります。

通常は子宮内に細菌が侵入しても免疫で増殖を抑えられるのですが、メス犬の発情後には免疫低下に関わる黄体ホルモンが約2か月間にわたって分泌されます。
そのため、細菌に対する免疫力が低下し子宮蓄膿症を発症しやすくなります。

妊娠、出産の経験がない5歳以上の犬ホルモンバランスの崩れた高齢犬によくみられます。
出産の経験があっても長期間妊娠していない場合にも発症しやすくなるという報告もあります。 

子宮蓄膿症のサイン

発情終了後の数週間から2~3か月以内に現れることが多いです。

初期

時々食欲にムラがありますが、飼い主が気づきづらい状態です。

中期

数日から1週間かけて進行し、以下の症状が見られます。

  • 元気消失
  • 食欲低下
  • 飲量水と排尿の増加
  • 嘔吐
  • 発熱

陰部からの分泌物また膿の蓄積が多くなると子宮が膨らみ、外見からも腹部が膨れて垂れ下がっていることが確認できます。

後期

さらに進行すると膿が血液中にまわり敗血症や腹膜炎を起こし、多臓器不全に繋がります。
飼い主が症状に気付いた時には、病気が進行していることが多いです。

子宮蓄膿症には種類がある?

子宮蓄膿症には、子宮内に溜まった膿が外陰部から排泄される「開放型」と排出されない「閉鎖型」があります。

開放型では子宮から排出された血液や膿が膣に見られることがあるため、比較的発見しやすいです。
しかし、閉鎖型では陰部に膿が見られないため飼い主は気づきにくく、子宮からお腹の中へ膿が漏れ出して急激に状態が悪化し、突然死する場合もあります。

子宮蓄膿症の検査

子宮蓄膿症の検査方法

通常は血液検査レントゲン検査超音波検査などで診断を行います。

血液検査

<細菌感染の影響で白血球数が上昇する傾向があります。また腎臓や肝臓の機能が低下している場合もあるため、同時に腎臓・肝臓の機能を検査確認します。

レントゲン検査

膿によって拡大した子宮の確認を行います。
一般的に正常な子宮は、レントゲン検査で見ることが出来ません。
妊娠との区別をする場合には超音波検査が行われます。

どのように治療するの?

子宮蓄膿症の主な治療方法は3つあります。

外科的治療

再発を防ぐ最も有効な治療で、外科的に卵巣と子宮を摘出する方法です。
しかし通常の避妊手術と違い、膿が溜まっている子宮を摘出するため、難しい手術です。

手術自体が成功しても術後に血圧低下や体温低下、ショック状態に陥ることがあるため油断できません。
術後数日は入院をして、細菌の毒素による腎臓や肝臓の障害、腹膜炎などのリスクがなくなるまで経過観察します。

入院中の検査で問題がない場合は、比較的早く日常生活に戻ることができます。

抗生剤による治療

初期兆候のみで食欲・元気があり全身状態が悪くない場合は、抗生剤の投与で治癒する場合があります。
しかし再発する可能性が残ります。

ホルモン療法

子宮を収縮させるホルモン剤を投与することによって子宮から膿を排出させる方法です。
飼い犬の子供がどうしても欲しい場合の方法で、開放型で症状が進行していない犬にのみ適応されます。

しかし、治療に時間がかかり、また完全な膿の排出は困難なため、病気が進行する可能性もあります。
子宮蓄膿症を完全に治療するためには外科的治療が最も有効な方法です。

手遅れになると命を落とす危険性がある病気のため、かかりつけの獣医師とよく相談し、納得のいく治療法を選択してください。

子宮蓄膿症を予防するためには?

若くて健康な内に避妊手術をすることで、予防することが出来ます。
子犬を飼う場合は、なるべく早く手術時期を獣医師と相談しましょう。

まとめ

子宮蓄膿症は避妊していないメス犬ならば、どの犬でも起こる可能性のある病気です。
特に、いつもより発情出血やおりものが長く続く場合は要注意です。

避妊手術をしていない犬、特に5歳以上の犬では発情後の体調を注意深く観察しましょう。

著作者プロフィール

2019年12月31日

犬の病気

獣医師 越後谷瞳

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