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犬の甲状腺機能低下症について
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    人間が年を取ると衰えるように、ペットも年を取ると身体の衰えとともに病気にかかりやすくなります。
    特に高齢化による病気は年を重ねるにつれて少しずつ症状が出てくるので、飼い主でもなかなか気づきづらいことが多いです。

    今回はシニア犬がかかりやすい内分泌疾患の中でも甲状腺機能低下症についてご紹介します。

    口を大きく開ける犬

    内分泌疾患って何?

    内分泌疾患とは、脳下垂体、副腎、甲状腺、膵臓、性腺などの内分泌腺からでるホルモンが、出すぎたり、少なすぎたりすることで起こる病気です。
    ホルモンは一ヶ所に作用するのではなく、体の様々な場所に相互に作用するため、似たような症状が重なってできます。

    また、症状がゆっくりでてくるので、何となくおかしいけど年のせいかな…と思い病院を受診するのが遅れることが少なくありません。
    シニア期になるとホルモンのバランスを崩し内分泌疾患になることが多いので、気になる症状があるときは早めに獣医師に相談しましょう。
    また、定期的な健康診断も忘れずに受けましょう。

    甲状腺機能低下症の原因は?

    自己免疫疾患や免疫力の低下などにより甲状腺自体が炎症を起こして萎縮したり、甲状腺が炎症を起こすと、甲状腺ホルモンの分泌が低下して発症します。
    原因の9割を占めるといわれています。

    また、脳からぶら下がる袋状の下垂体から、甲状腺を刺激するホルモンが何らかの原因で出ないことで甲状腺ホルモンが不足すると下垂体性甲状腺機能低下症になります。

    甲状腺機能低下症の症状は?

    甲状腺ホルモンは全身の代謝に関わるため、症状は多岐にわたります。

    • 寝てばかりいる
    • 動作が鈍い
    • 散歩に行きたがらない
    • 太ってくる
    • 寒がる
    • 皮膚症状が出る
    • 脱毛(ブラッシングですぐ抜けたり、子犬の時のような細く、弱い被毛になる=パピーコート)
    • 色素沈着(黒色化)
    • しっぽの脱毛(=ラットテイル)
    • 膿皮症
    • 外耳炎
    • 悲しそうな顔つき
    • 下痢、嘔吐

    甲状腺機能低下症はどうやって調べればいい?

    甲状腺ホルモン値を測定します。

    ただし、内分泌疾患(特に甲状腺機能低下症)は、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や糖尿病を併発していることもしばしばみられます。
    本当に甲状腺機能低下症なのか、他の病気が原因で甲状腺ホルモンが低下しているのか、追加の血液検査や超音波検査などで判別する必要があります。

    検査する前に甲状腺機能低下とクッシング症候群を見分けるには?

    甲状腺機能低下とクッシング症候群は症状が似ている内分泌疾患で、シニア期の犬によくみられる病気です。
    「年を取ったからかな…」と思い、病気を見過ごしがちですので注意が必要です。

    どちらの病気にかかっているのか、しっかり鑑別することは治療するうえでとても重要ですが二つの病気が併発する可能性も考えなければなりせん。
    以下の症状を参考に見分けることができます。

    甲状腺機能低下症とクッシングの共通点

    • 元気がない
    • 皮膚の脱毛、黒ずみ
    • 膿皮症
    • 外耳炎
    • 散歩にいきたがらない
    • 太ってきた気がする

    甲状腺機能低下症特有の症状

    • 寒がる
    • 脱毛(パピーコート様ですぐ抜ける、左右対称でないことも多い)
    • しっぽの脱毛

    クッシング症候群特有の症状

    • 多飲多尿
    • よく食べる
    • おなかが出てくる(飼い主には肥満に見えても、実際は太ってはいなく、お腹だけ出る感じ=いわゆるビール腹=ポットベリー)
    • 左右対称性の脱毛

    薬

    甲状腺機能低下症の治療法

    甲状腺ホルモン製剤を与えることで症状は改善します。
    与えすぎると過剰症になってしまいますので定期的に検査をしながら、正常値を維持します。
    また、甲状腺ホルモン製剤は生涯にわたって投薬が必要になります。

    まとめ

    ここ10年で、シニア犬の内分泌疾患は増加傾向にあります。
    飼い主たちの意識の向上でペットの寿命が伸びてきたこと、検査の精度があがって発見率が上がったことが理由としてあげられます。

    ペットの高齢化にともない、定期的な健康診断の重要性も高まっています。
    気軽に相談できるかかりつけ医を持ち、病気の早期発見を心がけましょう。

人間が年を取ると衰えるように、ペットも年を取ると身体の衰えとともに病気にかかりやすくなります。
特に高齢化による病気は年を重ねるにつれて少しずつ症状が出てくるので、飼い主でもなかなか気づきづらいことが多いです。

今回はシニア犬がかかりやすい内分泌疾患の中でも甲状腺機能低下症についてご紹介します。

口を大きく開ける犬

内分泌疾患って何?

内分泌疾患とは、脳下垂体、副腎、甲状腺、膵臓、性腺などの内分泌腺からでるホルモンが、出すぎたり、少なすぎたりすることで起こる病気です。
ホルモンは一ヶ所に作用するのではなく、体の様々な場所に相互に作用するため、似たような症状が重なってできます。

また、症状がゆっくりでてくるので、何となくおかしいけど年のせいかな…と思い病院を受診するのが遅れることが少なくありません。
シニア期になるとホルモンのバランスを崩し内分泌疾患になることが多いので、気になる症状があるときは早めに獣医師に相談しましょう。
また、定期的な健康診断も忘れずに受けましょう。

甲状腺機能低下症の原因は?

自己免疫疾患や免疫力の低下などにより甲状腺自体が炎症を起こして萎縮したり、甲状腺が炎症を起こすと、甲状腺ホルモンの分泌が低下して発症します。
原因の9割を占めるといわれています。

また、脳からぶら下がる袋状の下垂体から、甲状腺を刺激するホルモンが何らかの原因で出ないことで甲状腺ホルモンが不足すると下垂体性甲状腺機能低下症になります。

甲状腺機能低下症の症状は?

甲状腺ホルモンは全身の代謝に関わるため、症状は多岐にわたります。

  • 寝てばかりいる
  • 動作が鈍い
  • 散歩に行きたがらない
  • 太ってくる
  • 寒がる
  • 皮膚症状が出る
  • 脱毛(ブラッシングですぐ抜けたり、子犬の時のような細く、弱い被毛になる=パピーコート)
  • 色素沈着(黒色化)
  • しっぽの脱毛(=ラットテイル)
  • 膿皮症
  • 外耳炎
  • 悲しそうな顔つき
  • 下痢、嘔吐

甲状腺機能低下症はどうやって調べればいい?

甲状腺ホルモン値を測定します。

ただし、内分泌疾患(特に甲状腺機能低下症)は、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や糖尿病を併発していることもしばしばみられます。
本当に甲状腺機能低下症なのか、他の病気が原因で甲状腺ホルモンが低下しているのか、追加の血液検査や超音波検査などで判別する必要があります。

検査する前に甲状腺機能低下とクッシング症候群を見分けるには?

甲状腺機能低下とクッシング症候群は症状が似ている内分泌疾患で、シニア期の犬によくみられる病気です。
「年を取ったからかな…」と思い、病気を見過ごしがちですので注意が必要です。

どちらの病気にかかっているのか、しっかり鑑別することは治療するうえでとても重要ですが二つの病気が併発する可能性も考えなければなりせん。
以下の症状を参考に見分けることができます。

甲状腺機能低下症とクッシングの共通点

  • 元気がない
  • 皮膚の脱毛、黒ずみ
  • 膿皮症
  • 外耳炎
  • 散歩にいきたがらない
  • 太ってきた気がする

甲状腺機能低下症特有の症状

  • 寒がる
  • 脱毛(パピーコート様ですぐ抜ける、左右対称でないことも多い)
  • しっぽの脱毛

クッシング症候群特有の症状

  • 多飲多尿
  • よく食べる
  • おなかが出てくる(飼い主には肥満に見えても、実際は太ってはいなく、お腹だけ出る感じ=いわゆるビール腹=ポットベリー)
  • 左右対称性の脱毛

薬

甲状腺機能低下症の治療法

甲状腺ホルモン製剤を与えることで症状は改善します。
与えすぎると過剰症になってしまいますので定期的に検査をしながら、正常値を維持します。
また、甲状腺ホルモン製剤は生涯にわたって投薬が必要になります。

まとめ

ここ10年で、シニア犬の内分泌疾患は増加傾向にあります。
飼い主たちの意識の向上でペットの寿命が伸びてきたこと、検査の精度があがって発見率が上がったことが理由としてあげられます。

ペットの高齢化にともない、定期的な健康診断の重要性も高まっています。
気軽に相談できるかかりつけ医を持ち、病気の早期発見を心がけましょう。

著作者プロフィール

獣医師 瀬戸口公代

日本大学生物資源科学部獣医学科卒業 人と動物が、共に健康で長生きできるお手伝いをさせてもらいたい。 今の自分ができることはなにか、できることから始めていくことをモットーに、頑張っています。 自身はもともと猫派でしたが、最近飼い始めた愛犬に、改めて、犬のかわいさを見せつけられています。

2019年12月06日

犬の病気

獣医師 瀬戸口公代

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